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昆野清一

デジタルミュージアム

Seiichi Konno Digital Museum

「光の雅歌または心鬼無形」油彩 20号 F 1996年 個人蔵

​日本で唯一の抽象的宗教画家

“沈黙の抽象画家”と呼ばれる絵描きが青森県八戸市にいた。

名前は昆野清一(1921〜2005)。

50年で4000点以上の絵を描きながら、作品はほとんど公にしていない。

カトリック信仰が作風を深く支え、作品を目にした美術史学者の田中日佐夫氏は、

「わが国で唯一の抽象的宗教画家」と評論した。

田中氏をはじめ関係各位、地元メディアの協力をいただき、

世間の目に触れずに眠っていた昆野清一の画業を公開する。

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「天上の光景」を描く

 昆野さんは、聖なるものが、あるいはそれを囲む精霊たちが、自由に飛翔する天上をすばらしく描いている。具象的なすがたや形はなにひとつ描いていない。その意味では、抽象画と呼ぶべきであろう。しかし、これほどに天上のありさまを、天上の光を、天上の香りを描いた作品はないと私は思う。それはちょうど、ヨーロッパ中世の人びとが発明したステンドグラスによって、天国に満ちみちている光そのものを具象的に表現しようとしたのと同じである。

昆野さんは繊細な心を抱いたまま、戦時下には一人の兵士として生き、戦後は一時、孤独な生活を試み、50歳を迎えるころには洗礼を受けてカトリック信者になっている。その間、何回もの人生の壁にぶち当たり、その開けにくいドアをこじ開けながら生き抜き、絵が描けなくなった時期を越えながら、現在に至っている。現在の作品は、そういう昆野さんの人生そのものから生まれてきた「天上」のすがたにちがいないのだ。昆野さんこそは、わが国で唯一の抽象的宗教画家だと私は高く評価しているのである。

2002年5月

秋田県立近代美術館館長 成城大学名誉教授

田中日佐夫

※肩書は当時

​昆野清一(Konno Seiichi)
青森県八戸市生れ。中央大学法学科卒業。終始無所属を貫き、故郷のアトリエで創作活動に励む。
一部作品は八戸市カトリック塩町教会、八戸学院大学礼拝堂、おいらせ町カワヨグリーン牧場ロッヂで見ることができる。

 

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